2019年4月1日から、働き方改革関連法が始まり、会社は社員に年次有給休暇を年5日取得させることが義務づけられています。当記事では、年次有給休暇を年5日取得させなければならない労働者や育児休業明けの労働者にも年次有給休暇を年5日取得させる必要があるかについて、詳しく解説します。
年次有給休暇の取得義務とは?
2019年年4月1日から、働き方改革がスタートしました。
すべての事業主は、労働者ごとに年次有給休暇を年5日取得時季を指定して取らせることが、義務づけられました。
「年5日」をカウントする時の起算点は、年次有給休暇を付与した日(基準日)です。
年次有給休暇を年5日取得させなければならない人は?
年次有給休暇を年5日取得させる必要がある労働者は「法定の年次有給休暇が10日以上与えられるすべての労働者」です。
管理監督者や法定の年次有給休暇が10日以上与えられるパート・アルバイトなどの有期雇用労働者も、対象者です。
正社員などフルタイムで勤務する従業員の年次有給休暇の付与日数や所定労働日数に応じて年次有給休暇が比例付与されるパート・アルバイトなど年次有給休暇の付与日数については、下記の記事をご覧ください。
育児休業明けの社員で年次有給休暇の取得が年5日以上必要なケースは?
育児休業明けの社員で、基準日から1年間の残りの労働日が、5日以上の場合は、5日の年次有給休暇を取らせる必要があります。
例えば、毎週土日が休みの会社で2022年4月1日(法定基準日)に年10日以上の年次有給休暇が与えられた育休中の社員が、
■ 2023年3月1日に復職した場合
→基準日から出勤日の残りが5日以上あるので、年5日年次有給休暇を取得させる必要有り
■ 2023年3月28日に復職した場合
→基準日から出勤日の残りが5日未満なので、年5日年次有給休暇を取得させなくても問題ない
となるので、ご注意ください。
育休や短時間勤務者の代替要員を雇った時などの助成金は?
令和6年1月1日以降に、中小企業が、育児休業または育児のための短時間勤務制度利用が開始している労働者の業務を代替する周囲の労働者への手当支給等の取組や代替要員を新たに雇った場合等「両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)」が受給できます。
■両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)の主な支給要件・支給額
[1]手当支給等 (育児休業) | 代替要員を確保せずに業務の見直し・効率化を行い、育児休業取得者の業務を代替する周囲の労働者に対し、手当支給等の賃金増額を行った場合 | 以下1,2の合計額を支給。 1.業務体制整備経費:5万円 ※育児休業期間1か月未満の場合は2万円 2.業務代替手当:業務代替者に支給した手当の総額の3/4 <プラチナくるみん認定事業主は4/5> ※10万円/月が助成金の上限 ※代替期間12か月分まで対象 |
[2]手当支給等 (短時間勤務) | 代替要員を確保せずに業務の見直し・効率化を行い、制度利用者の業務を代替する周囲の労働者に対し、手当支給等のの賃金増額を行った場合 | 子が3歳になるまで以下1,2の合計額を支給。 1.業務体制整備経費:2万円 2.業務代替手当:業務代替者に支給した手当の総額の3/4 ※3万円/月が助成金の上限 |
[3]新規雇用(育児休業) | 育児休業取得者の代替要員を新たな雇い入れ・派遣による代替要員を確保する場合 | 育児休業期間中に業務代替した期間に応じて以下の額を支給 ・7日以上14日未満 9万円<*11万円> ・14日以上1か月未満 13.5万円<*16.5万円> ・1か月以上3か月未満27万円<*33万円> ・3か月以上6か月未満45万円<*55万円> ・6か月以上:67.5万円<*82.5万円> |
[4]有期雇用労働者加算※1 | [1]~[3]のそれぞれ要件を満たした場合に[1]~[3]の助成金に支給額を加算 | [1]~[3]に10万円加算 |
[5]育児休業等に関する情報公表加算※2 | [1]~[3]のそれぞれ要件を満たした場合に[1]~[3]の助成金に支給額を加算 | [1]~[3]に2万円加算 |
*<>内の額は、プラチナくるみん認定事業主への割増支給額。
※1対象育児休業取得者/短時間勤務制度利用者が有期雇用労働者の場合に、[1]~[3]の助成金に支給額を加算します。業務代替期間が1か月以上の場合のみ対象。加算のみの受給は不可
※2自社の育児休業の取得状況等を指定のWebサイト上で公表した場合に、[1]~[3]のいずれかの助成金に、1回に限り加算して支給。加算のみの受給は不可。
出典:厚生労働省「両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)支給申請の手引き(令和6(2024)年1月版)」
まとめ
2019年4月1日から、使用者は労働者ごとに「時季」「日数」「基準日」を明らかにした年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存することが義務付けられています。なお年次有給休暇管理簿は、労働者名簿や賃金台帳とあわせて調製することもでき、勤怠管理システムで管理することもできます。労働者ごとの基準日を把握し、基準日から半年過ぎても年次有給休暇を年5日以上取得していない労働者には、取得を呼びかけましょう。
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