5月8日から、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同じ5類に移行しました。2024年10月11日厚生労働省HPに掲載された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、2024年第40 週(9/30~10/6)分の定点当たり報告数は、3.07(前週は3.58)と前週より減少しています。
なお5類移行直後の19週(2023年5月8日~5月14日)の定点当たり新規患者報告数2.63を22週連続超えています。
出典:厚生労働省「2024年10月11日新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」
この記事では、職場でコロナに感染した場合、労災保険給付の支給対象となるのは、どのようなケースか、5類移行前との違いなどについて詳しく解説します。
職場でコロナに感染した!労災保険給付の支給対象となるケースは?
業務によってコロナに感染した場合、労災保険給付の対象となるのは、原則として次の①または②の、どちらかに該当する場合とされています。
①感染経路が業務によることが明らかな場合
②感染経路が不明の場合でも「感染リスクが高い業務」に従事しそれにより感染した可能性が強い場合
②の「感染リスクが高い業務」とは、
(例1)労災保険給付の請求人を含め、2人以上の感染者が確認された労働環境下での業務
(例2)小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、保育士など育児サービス業務等の顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務
と、職場でクラスターが発生した場合やスーパーの販売員、バスやタクシー等のドライバー、保育士などが想定されています。
また(例1)、(例2)以外の業務でも、感染リスクが高いと考えられる労働環境下の業務に従事していた場合には、潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査し、個別に業務との関連性(業務起因性)が判断されます。
なお、同一事業場内で、複数の労働者の感染があっても、お互いに近接や接触の機会がなく、業務での関係もないような場合は、労災保険給付の支給対象に該当しないと考えられています。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)5労災補償問1,問3,問4,問5,問6、問7」
医療従事者等がコロナに感染!労災保険給付の対象となるケースは?
医師、看護師などの医療従事者や介護従事者が、コロナに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。
よって看護師が「休日に行ったライブハウスでクラスターが発生し、コロナに感染した」といった業務外での感染が明らかな場合を除き、感染経路が不明でも労災認定されやすくなっています。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更された後も、この取扱いに変更はありません。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)5労災補償問2」
コロナ自宅療養者が労災休業補償給付を請求、医師の証明は必要?
コロナが感染症法上の5類感染症に移行したことを受け、2023(令和5)年5月8日以降に、PCR検査や抗原検査で陽性が確認され、労災保険の休業補償給付の請求をする場合、他の傷病による休業補償給付の請求と同様に、原則として医師の証明が必要です。
2023年5月7日以前に陽性が確認された人が、医療機関を受診せず自宅療養を行った場合は、療養期間について、PCR検査や抗原検査の陽性結果を確認できる書類を自宅療養したことを客観的に推定できる書類として添付した上で休業補償給付の請求ができます。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)5労災補償問8」
まとめ
コロナに感染した場合の労災保険給付の対象要件をまとめると、下記表のようになります。
業務 | 労災保険給付の支給対象となる場合 |
原則(下記の業務や職場環境等を除く) | 感染経路が業務によることが明らかな場合 |
感染リスクの高い業務 職場でクラスターが発生した場合やスーパーの販売員、バスやタクシー等の運転手、保育士等 | 感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務の従事により感染した可能性が強い場合 |
医師、看護師などの医療従事者や介護従事者 | 業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象 |
ところで、コロナによる労災保険給付の支給対象の基準は、5類移行後も変わっていませんが、休業補償給付の請求をする際、5類移行後は、医師の証明が必要になっています。
5類移行後、労災保険給付以外にも、コロナ関連の取り扱いが一部変更になっているものがあるため、厚生労働省のホームページをご確認ください。
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