会社には、労働者の安全衛生に配慮する義務があり、労働者の安全と健康の確保と快適な職場環境の形成促進のため労働安全衛生法が定められています。
そして労働安全衛生法・労働安全衛生法施行令に基づき、厚生労働省令で事務所の衛生基準を定めた「事務所衛生基準規則」と安全衛生についての基準を定めた「労働安全衛生規則」を守る必要があります。2021年(令和3年)12月1日から「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が施行され、併せて※事務所衛生基準規則および*労働安全衛生規則について、一部運用が見直されました。
※事務所衛生基準規則(昭和47 年労働省令第43号。以下「事務所則」という)*労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という)
会社のトイレは何個必要?
2021年(令和3年)12月1日からトイレ(便所)の設置基準が変わり、新たに「独立個室型の便所」が法令で位置づけられています。(事務所則第17条の2関係、安衛則第628条の2関係)現在、会社に必要なトイレ(便所)の数は、下記表のようになっています。
トイレ(便所)の設置基準 | |
原則 | ・便所を男性用と女性用に区別して設置する ・男性用大便所の便房数:同時に就業する男性労働者60人以内ごとに1個以上 ・男性用小便所の箇所数:同時に就業する男性労働者30人以内ごとに1個以上 ・女性用便所の便房数:同時に就業する女性労働者20人以内ごとに1個以上 等 |
例外 | 同時に就業する労働者が常時10人以内である場合、男性用と女性用に区別することの例外として、独立個室型の便所を設けることで足りることとする |
男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合、独立個室型の便所トイレの設置数を算定する際の基準となる「同時に就業する労働者の数」を1個につき男女それぞれ10 人ずつ減らすことができます。例えば、同時に就業する労働者数が男性65人、女性65人の会社の場合、必要なトイレの数は、下記表のようになります。
(例)同時に就業する労働者数が男性65人、女性65人の会社 | 必要なトイレの数 |
男性用と女性用に区別した便所のみを設けた場合の必要数 | 男性用大便所 2個 男性用小便所 3箇所 女性用便所 4個 |
「独立個室型の便所」を1個設けた場合の必要数 | 独立個室型の便所 1個 男性用大便所 1個 男性用小便所 2箇所 女性用便所 3個 |
事務所の照明基準が引き上げに、何ルクス以上必要になった?
2022年(令和4年)12月1日から、事務所の照度の基準が下記のように引上げされました。パソコン作業などによる視力低下や眼精疲労防止のため、早めに対応しましょう。
作業の区分・基 準 | |
現在 | 一般的な事務作業は300ルクス以上 付随的な事務作業※は150ルクス以上 |
改正前 (2022年11月まで) | 精密な作業は300ルクス以上 普通の作業は150ルクス以上 粗な作業は70ルクス以上 |
※資料の袋詰め等、事務作業のうち、文字を読み込んだり資料を細かく識別したりする必要のないものが該当
出典:厚生労働省「ご存知ですか?職場における労働衛生基準が変わりました(R4.4)」
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