令和4年12月23日に、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の一部が改正され令和6年4月1日から適用されます。
バス運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正のポイントは、
■1年の拘束時間と1か月の拘束時間が減少
■高速バス・貸切バスの高速道路の実車運行区間における連続運転時間2時間とするように努める
■分割休息特例について分割方法を見直し、2分割までとする
■事故、故障、警報発表時など災害等やむを得ない場合の例外的取扱いを規定
となっています。詳細は、下記の表をご覧ください。
改正後(令和6年4月1日) | 改正前(現行) | |
1か月(1年), 4週平均1週(52週)の拘束時間 |
①②のいずれかを選択 ①1か月(1年)の基準 1年:原則3,300時間以内 1か月:原則281時間以内 (例外:貸切バス乗務員※1の場合) 労使協定の締結により下記のとおり延長可能 1年:3,400時間以内 1か月:294時間以内(年6か月まで) 281時間越えは連続4か月まで ②4週平均1週(52週)の基準 52週:3,300時間以内 4週平均1週:65時間以内 (例外:貸切バス乗務員※1の場合) 労使協定の締結により下記のとおり延長可能 52週:3,400時間以内 4週平均1週:68時間以内(52週のうち24週まで) 65時間越えは連続16週まで |
年換算:3,380時間
【4週平均1週】 |
1日の拘束時間 | 13時間以内 (上限15時間、14時間越えは週3回までが目安) |
13時間以内(上限16時間) |
1日の休息期間 | 継続11時間以上与えるよう努めることを基本として9時間を下回らない | 継続8時間以上 |
運転時間 | 2日平均1日:9時間以内 4週平均1週:40時間以内 (例外:貸切バス乗務員※1の場合) 労使協定の締結により4週平均1週44時間まで延長可能(52週のうち16週まで) |
2日平均1日:9時間以内 4週平均1週:原則40時間以内 (例外) 労使協定の締結により52週間のうち16週間までは、52週間の運転時間が2,080時間を超えない範囲内で4週平均1週44時間まで延長可能 |
連続運転時間 | 4時間以内 (運転の中断は1回連続10分以上、合計30分以上) 緊急通行車両の通行などに伴う警備な移動の時間を30分まで連続運転時間から除くことができる |
4時間以内 運転開始後4時間以内または4時間経過直後に運転を中断して30分以上(1回につき10分以上分割した休憩も可)の休憩を確保 |
予期し得ない事象※2 | 予期しない事象への対応時間を1日の拘束時間と運転時間(2日平均)、連続運転時間から除くことができる。※2・3勤務終了後、通常通りの休息期間(継続11時間以上を基本、9時間を下回らない)を与える | 規定なし |
分割休息の特例 | 継続9時間の休息期間を与えることが困難な場合 ・分割休息は1回4時間以上 ・休息期間の合計11時間以上 ・2分割のみ(3分割以上は不可) ・一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1が限度 |
継続8時間の休息期間を与えることが困難な場合 2週間から4週間程度における全勤務回数の2分の1の回数を限度として休息期間を拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることが可(1日において1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上) |
2人乗務の特例※4 | ※4の要件を満たす場合、拘束時間を19時間まで延長し休息期間を5時間まで短縮可 (例外) ①②のいずれかの場合、拘束時間を19時間まで延長し、休息期間を5時間短縮可能 (例外)①②のいずれかの場合、拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間短縮可能 ①車両内ベッドが設けられている場合 ②※4を満たしカーテン等で他の乗客からの視線を遮断する措置を講じている場合 |
※4拘束時間を20時間まで延長し休息期間を4時間まで短縮可 |
隔日勤務の特例 | 業務の必要上やむを得ない場合、以下の条件で隔日勤務に就かせることができる ・2暦日の拘束時間は21時間 ・休息時間は20時間 (例外) ・仮眠施設で夜間4時間以上の仮眠を与える場合2暦日の拘束時間を24時間まで延長可(2週間に3回まで) ・2週間の拘束時間は126時間(21時間×6勤務)を超えることができない |
業務の必要上やむを得ない場合、以下の条件で隔日勤務に就かせることができる ・2暦日の拘束時間は21時間 ・休息時間は20時間 (例外) ・仮眠施設で夜間4時間以上の仮眠を与える場合2暦日の拘束時間を24時間まで延長可(2週間に3回まで) ・2週間の拘束時間は126時間を超えることができない |
フェリーに乗船する場合の特例 | ・フェリー乗船時間は原則として休息期間(減算後の休息期間は下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならない) ・フェリー乗船時間が8時間を超える場合、原則として下船時刻から次の勤務が開始される |
・フェリー乗船時間は原則として休息期間。休息期間とされた時間を休息期間8時間から減ずることができる(2人乗務の場合4時間、隔日勤務の場合20時間)減算後の休息期間は、2人乗務の場合を除き下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならない |
休日労働 | 休日労働は2週間に1回を超えない、休日労働によって拘束時間を越えない | 休日労働は2週間に1回を超えない |
※1 貸切バス乗務者、乗り合いバス乗務者(一時需要に応じて運行されるもの)、高速バス乗務者等
※2予期しない事象とは、下記の事象。
・運転中に乗務していた車両が故障した
・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した
・運転中に災害や事故の発生に伴い道路が封鎖されたまたは道路が渋滞した
・異常気象(警報発表時)に遭遇し運転中に正常な運転が困難になった
※3運転日報上の記録に加え客観的な記録(公共機関のHP情報など)が必要
※4 自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合で身体を伸ばして休息できるリクライニング方式のバス運転者の専用座席が1席以上ある場合
※5車内ベッドが長さ198㎝以上かつ幅80cm以上の連続した平面であり、かつクッション材などにより走行中の路面などからの衝撃が緩和されるもの
ところで2019年4月から働き方改革が始まり、大企業は残業(時間外労働)時間の上限規制が始まりました。
2020年4月から、小さなお店や会社などの中小企業についても、残業(時間外労働)の上限時間が法律で規制されています。
上限規制については、こちらをご覧ください。
ただし自動車運転業・建設業・医師など一部の事業や業務は、2024年4月1日から適用とされています。
(新商品・新技術の研究・開発業務は、上限規制の適用除外)
トラック、バス、タクシー運転手の残業時間の上限規制については、こちらをご覧ください。
タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正については、こちらをご覧ください。
2021年4月1日から変わった36協定届、新様式がダウンロードできるサイトは?こちらをご覧ください。
夜勤のシフトなど労務管理や助成金などについては、こちらをご覧ください。
労務相談やハラスメント相談窓口代行、就業規則の診断・改定・作成、各種手続き、研修講師などのご依頼は、こちらをご覧ください。