労使トラブルで多いのが「残業代・休日手当・深夜手当(割増賃金)の計算」の誤解です。
残業(時間外労働)・休日出勤(法定休日労働)・深夜勤務(深夜労働)の割増賃金の計算式は
割増賃金額=「1時間当たりの賃金額」×時間外労働・法定休日労働・深夜労働をした時間数×割増率
となります。それぞれの法定割増率は、
■残業(時間外労働)
・1日8時間または週40時間を超えて仕事をさせた場合、25%以上の割増率
・大企業が1カ月に60時間を超える時間外労働をさせた場合は、50%以上の割増率
→2023年4月1日から中小企業も1カ月に60時間を超える時間外労働をさせた場合は、50%以上の割増率
■法定休日労働:週1日あるいは4週を通じて4日の法定休日に仕事をさせた場合、35%以上の割増率
■深夜労働(PM10:00~AM5:00)をさせた場合、25%以上の割増率
となります。
割増賃金を計算する時の「1時間当たりの賃金額」には、各種手当も含めて計算します。ただし
(1)「通勤手当」
(2)「別居手当」
(3)「家族手当」
(4)「子女教育手当」
(5)「住宅手当」
(6)「臨時に支払われた賃金」
(7)「1カ月を超える期間ごとに支払われた賃金」
の(1)~(7)は、「1時間当たりの賃金額」から除外することができます。
(労働基準法第37条第5項、労働基準法施行規則第21条)
(1)~(7)に該当しない賃金は、すべて「1時間当たりの賃金額」に入れて割増賃金額を計算しなければなりません。
各種手当を月額で支払っている場合は
「1時間当たり〇〇円」
と時給に換算して計算します。
例1)時給1,000円、リーダー手当月額3,000円、1か月平均の所定労働時間数150時間のアルバイト従業員が1か月に10時間残業(時間外労働)をした
1時間当たりのリーダー手当の金額は
「月額3,000円÷1か月平均所定労働時間数150時間=1時間当たり20円」
となります。よって「1時間当たりの賃金額」は
「時給1,000円+(精勤手当月額3,000円÷1か月平均所定労働時間数150時間)=1,020円」
となるため、このアルバイト従業員の1か月の残業代(割増賃金)は、
「1時間当たりの賃金額1,020円×時間外労働10時間×割増率1.25=12,750円」
となります。
(例2)1か月の平均所定労働時間が160時間で月給制(下記内訳)の社員が1か月に10時間残業(時間外労働)をした
・基本給(月給)15万円
・役職手当(月給)1万円
・通勤手当(月給)1万円
1時間当たりの賃金額を計算する場合、通勤手当は除外できるので
「(基本給+役職手当=16万円)÷1か月の平均所定労働時間160時間=1,000円」
と計算し1時間当たりの賃金額は1,000円となります。
この社員の1か月の残業代(割増賃金)は、
「1時間当たりの賃金額1,000円×時間外労働10時間×割増率1.25=12,500円」
となります。
2023年4月1日から、中小企業も月60時間を超えた残業(時間外労働)の割増賃金率が50%以上に引き上げられのでご注意ください。
最低賃金額以上か比べるため月給を時給に換算したい!計算方法は?こちらをご覧ください。
時給制や日給制・出来高制で働くパート・バイトなどの平均賃金の計算方法については、こちらをご覧ください。
夜勤のシフトなど労務管理や助成金などについては、こちらをご覧ください。
労務相談やハラスメント相談窓口代行、就業規則の診断・改定・作成、各種手続きなどについては、こちらをご覧ください。
働き方改革など法改正情報などについて、無料メールマガジンでお伝えしています。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
こちらの関連記事もご覧ください。