2024年仕事中の熱中症対策は?STOP!熱中症 クールワークキャンペーン

厚生労働省の「令和5年職場における熱中症による死傷災害の発生状況(速報値)」によると、令和5年職場での熱中症による休業4日以上の死傷者数は1,045人(うち死亡者数は28人)と記録的な猛暑となった平成30(2018)年の死傷者数1,178人(うち死亡者数は28人)に次ぐ多さとなっています。

この記事では、2024(令和6)年5月から9月まで、厚生労働省で実施される「令和6年STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の内容と2024年4月から実施すべき職場での熱中症予防対策や熱中症予防教育の内容・教育用ツールなどについて詳しく解説します。

熱中症の死傷者数が多い業種は?

過去5年(2019~2023年)熱中症による死傷者数が多かった業種は、

1位 建設業 879人 (うち死亡者数53人)

2位 製造業 835人(うち死亡者数18人)

3位 運送業 574人(うち死亡者数5人)

と建設業と製造業で多く発生しています。過去5年(2019~2023年)熱中症による死傷者数が多かった月は、

1位 8月(死傷者数2134人うち死亡者数62人)

2位 7月(死傷者数1212人うち死亡者数41人)

3位 6月(死傷者数416人うち死亡者数12人)

と過去5年(2019~2023年)の熱中症による死傷者4221人の約半数が、8月に発症しています。

出典:厚生労働省令和5年「職場における熱中症による死傷者災害の発生状況」(速報)

2024年4月から実施すべき職場の熱中症対策は?

2月27日厚生労働省HPで公表された、2024(令和6)年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の概要によると、準備期間(4月)、キャンペーン期間(5月1日~9月30日)、重点取り組み期間(8月)に実施すべき事項は、下記の内容とされています。

            各期間に実施すべき事項
準備期間
(4月)
・暑さ指数(WBGT)の把握の準備
(日本産業規格JIS Z 8504又はJIS B 7922に適合したWBGT指数計の準備・点検)
・夏季の暑熱環境下における作業計画の策定等
・緊急時の対応の事前確認等
キャンペーン期間
(5月1日~9月30日)
・実測した暑さ指数をWBGT基準値に照らして評価し熱中症リスクを正しく見積もる
・作業環境管理(暑さ指数の低減等、休憩場所の整備等)
・作業管理(作業計画に基づき、WBGT基準値に応じた休憩等を行う。暑熱順化への対応、水分及び塩分の摂取、通気性の良い衣類に変更、プレクーリング)
・健康管理(健康診断結果に基づく対応等、日常の健康管理、労働者の健康状態及び暑熱順化の状況・作業中の労働者の健康状態の確認)
・労働衛生教育、異常時の措置、熱中症予防管理者等の業務
重点取り組み期間(8月)・作業環境管理(プログラムに沿って暑熱順化を行うとともに、暑さ指数に応じた作業の中断等を徹底)
・作業管理(水分及び塩分の積極的な摂取や熱中症予防管理者等による確認 )
・異常時の措置(状態が悪化した場合の連絡・対応方法を確認など)

出典:厚生労働省「令和6年『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』実施要綱」

管理職や社員に必要な熱中症予防教育研修の内容は?

厚生労働省の令和6年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱によると、準備期間(4月)中に実施すべき事項として、各級管理者、労働者に対する熱中症予防教育の実施が挙げられています。

熱中症予防教育は、下記の表3及び表4に基づき実施することとされています。

表3 熱中症予防管理者労働衛生教育

  事 項                範 囲時間
(1)熱中症の症状*・熱中症の概要
・職場における熱中症の特徴
・体温の調節
・体液の調節
・熱中症が発生する仕組みと症状
30分
(2)熱中症の予防方法*・暑さ指数(WBGT)(意味、WBGT 基準値に基づく評価)
・作業環境管理(暑さ指数(WBGT)の低減、休憩場所の整備等)
・作業管理(作業時間の短縮、暑熱順化、水分及び塩分の摂取、服装、作業中の巡視等)
・健康管理(健康診断結果に基づく対応、日常の健康管理、労働者の健康状態の確認、身体の状況の確認等)
・労働衛生教育(労働者に対する教育の重要性、教育内容及び教育方法) ・熱中症予防対策事例
150分
(3)緊急時の救急処置・緊急連絡網の 作成及び 周知
・緊急時の 救急措置
15分
(4)熱中症の事例熱中症の災害事例15分

*対象者の熱中症に対する基礎知識の状況に応じ、(1)及び(2)をそれぞれ15分、75分に短縮して行うこととして差し支えない。

表4 労働者向け労働衛生教育(雇入れ時又は新規入場時)

    事 項                範 囲
(1)熱中症の症状・熱中症の概要
・職場における熱中症の特徴
・体温の調節
・体液の調節
・熱中症が発生する仕組みと症状
(2)熱中症の予防方法・暑さ指数(WBGT)の意味
・現場での熱中症予防活動(暑熱順化、水分及び塩分の摂取、服装、日常の健康管理等)
(3)緊急時の救急処置緊急時の救急措置
(4)熱中症の事例熱中症の災害事例

教育研修については、準備期間中の4月だけでなく、5月~9月のキャンペーン期間中においても、適切な機会をとらえて実施し、重点期間中の7月は熱中症のリスクが高まっていることを含め、重点的な教育を行うこととされています。

特に上記表4に示す内容については、5月~9月のキャンペーン期間中、雇入れ時や新規入場時に加え、日々の朝礼等の際にも繰り返し実施することとされています。

出典:厚生労働省「令和6年『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』実施要綱」

熱中症予防教育で使用する教材は?

厚生労働省の実施要綱によると、熱中症予防教育用教材として、下記表の動画や資料などが挙げられています。

厚生労働省のポータルサイト「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報」・「理解度確認クイズ付き講習動画」
・「専門講師が解説する講習動画」
・「職場における熱中症予防について(動画)」
・中小企業の事業主、安全・衛生管理担当者、現場作業者向け「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド(PDF資料)」
・熱中症予防対策について点検すべき事項をまとめたリーフレット等
環境省の熱中症予防情報サイト・熱中症対策関連情報「熱中症について学べる動画」
・救急措置等の要点が記載された携帯カード「熱中症予防カード」

出典:厚生労働省「令和6年『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』実施要綱」

出典:環境省の熱中症予防情報サイト「熱中症対策関連情報~熱中症について学べる動画」

安全衛生法で義務付けられている雇い入れ時の安全・衛生教育とともに、熱中症予防教育も実施しておきましょう。

まとめ

日本気象協会HPによると、4月15日は北日本や北陸を中心に季節外れの暑さとなる地域が多いと予想されています。熱中症は、気温より湿度の影響が大きく、特に身体が暑さに慣れていない時に発症するリスクが高くなるため、実施要綱に記載されている項目を早めに実施しましょう。

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