希望者全員働ける年齢70歳に引き上げが努力義務になった改正高年齢者雇用安定法とは?

総務省統計局HP「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によると2023年の総人口に占める高齢者人口の割合は、過去最高の29.1%だったということです。15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合は、13.6%と過去最高となり、今や高齢就業者は、貴重な労働力となっています。

出典:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-

当記事では、高年齢者を雇う時のルールと定年を65歳以上へ引上げた場合など、高年齢労働者に関する助成金について、詳しく解説します。

定年65歳未満の会社に義務づけられている高年齢者雇用確保措置とは?

現在、会社が定年を定めるときは、60歳以上にしなければなりません。

(高年齢者雇用安定法8条)

定年の年齢が65歳未満の会社は、高年齢者雇用確保措置として

(1)定年の年齢を65歳以上にする

(2)65歳までの継続雇用制度を導入(再雇用制度・勤務延長制度など)

(3)定年制を廃止

のうちどれかを制度として導入することが義務づけられ、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告が必要です。

(高年齢者雇用安定法第9条)

2021年4月から施行の改正高年齢者雇用安定法とは?

2021年4月1日から、改正高年齢者雇用安定法が始まりました。希望者全員が働ける年齢を、現在の65歳から70歳にすることが「努力義務」となっています。70歳までの就業支援の方法は、下記①~⑤のいずれかとされています。

① 70歳までの定年引上げ

② 70歳までの継続雇用制度の導入

③ 定年退職制度廃止

また高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に④及び⑤の制度を導入

④ 業務委託契約を締結する制度

⑤a.事業主が自ら実施する社会貢献事業に従事できる制度

⑤b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度

出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要~70歳までの就業機会の確保のために事業主が講ずるべき措置(努力義務)等について~令和3年4月1日施行」

定年年齢を70歳に引き上げた時の助成金は?

2024年4月1日から、「2024年問題」と言われる運送・物流会社などの自動車運転手や建設業・医師などにも、時間外労働の上限規制が適用されます。

1年間に残業できる上限時間数については、下記の記事をご覧ください。

人手不足が深刻な業種においては、高年齢労働者の定年年齢の引き上げをするケースが増えています。

65歳以上への定年引上げなど、65歳超の労働者に関する雇用推進助成金は、下記の3つがあります。

(1)65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度の導入のいずれかを実施した事業主に対して助成するコース

(2)65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)

高年齢者向けの雇用管理制度の整備等に係る措置を実施した事業主に対して助成するコース

(3)65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業に対して助成するコース

出典:厚生労働省「令和5年度65歳超雇用推進助成金について

また、60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇の改善に向けて、就業規則や労働協約の定めるところにより、高年齢労働者に適用される賃金に関する規定または賃金テーブルの増額改定に取り組む事業主に対して「高年齢労働者処遇改善促進助成金」が支給されます。

詳細は、支給要件や申請書のダウンロードは、厚生労働省ホームページをご覧ください。

出典:厚生労働省「高年齢労働者処遇改善促進助成金」

まとめ

高年齢労働者が増えたことを受け、転倒災害による骨折など労災が増えています。高年齢労働者の労災事故は、休業4日以上が必要なケースが多いため、労働安全衛生法で義務付けられている雇い入れ時の安全・衛生教育をしっかりと行い、労災の防止に努めましょう。

下記の記事もご覧ください。

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