2024年4月1日から新たに求人募集要項に記載が必要になった内容は?

ハローワークなどへ求人申込みをする際や自社のホームページなどで労働者の募集を行う場合は、募集する労働者の労働条件を明示することが必要です。職業安定法施行規則が改正され、2024(令和6)年4月1日から新たに求人募集要項に記載が必要な項目が増えました。この記事では、求人募集要項に記載が必要な項目や新たに記載が必要になった項目について、詳しく解説します。

求人募集要項に記載が必要な項目は?

ハローワークなどへ求人申込みをする際や自社のホームページや求人サイト・求人広告に求人募集を掲載する場合は、労働契約締結までの間に求人票や募集要項等に、業務内容などの労働条件を書面の交付によって明示することが必要です。ただし、求職者が希望する場合には、電子メールによることも可能です。労働者の募集や求人申込みの際に、最低限明示しなければならない事項は、以下の項目です。

記載が必要な項目記載例
業務内容一般事務
契約期間期間の定めなし
試用期間試用期間あり(3か月)
就業場所本社(東京都●市●-●)又は埼玉支社(埼玉県△市△-△)
就業時間9:00~18:00
休憩時間12:00~13:00
休日土日、祝日
時間外労働あり(月平均20時間)
(裁量労働制を採用している場合は「(例)企画業務型裁量労働制により、●時間働いたものとみなされます」のような記載が必要)
賃金月給25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)*
加入保険雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険
受動喫煙防止措置屋内禁煙
募集者の氏名又は名称○○株式会社
(派遣労働者として雇用する場合のみ)雇用形態:派遣労働者

*時間外労働の有無に関わらず一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を採用する場合は、以下のような記載が必要です。

(1)基本給●●円((2)の手当を除く額)

(2)■■手当(時間外労働の有無に関わらず、●時間分の時間外手当として▲▲円を支給)

(3)✕✕時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

2022年10月から変わった求人募集のルールとは?

職業安定法が改正され、2022(令和4)年10月1日から求人募集のルールが変わりました。

求人企業に対して、求人情報や②自社に関する情報の的確な表示が義務付けられ、虚偽の表示・誤解を生じさせる表示の禁止や求人情報を正確に最新の内容に保つことが、義務付けられています。

募集広告などの労働者の募集に関する情報を提供する場合は、掲載した時点を明示するなど、正確かつ最新の内容に保つ義務があります。具体的には、下記のことが義務付けられています。

■自社のホームページで求人募集を掲載した場合、募集を終了・内容を変更したら、速やかに求人情報の掲載を終了・内容を変更するなど更新する

■ハロワークや求人サイト・求人広告・人材派遣や人材紹介など求人メディア等の募集情報等提供事業者を活用している場合は、募集の終了や内容変更を反映するよう速やかに依頼する。

■募集を開始した時点、内容を変更した時点など、いつの時点の求人情報か明らかにする。

■求人メディア等の募集情報等提供事業者から、求人情報の訂正・変更を依頼された場合には、速やかに対応する。

また求職者の個人情報を収集する際には、「面接の日程に関する連絡に使用します」と表示するなど、業務の目的を明らかにしなくてはなりません。そして、労働者の募集のために必要な範囲で求職者の個人情報を収集・使用・保管する必要があります。

出典:厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」

2024年4月1日から新たに求人募集要項に記載が必要になった項目は?

職業安定法施行規則が改正され、2024(令和6)年4月1日から新たに求人募集要項に記載が必要な項目が増えています。

今回の改正で追加された明示事項は、下記の項目です。

①・②業務内容と就業場所の「変更の範囲

記載が必要になる項目記載例
業務内容(雇入れ直後)法人営業(変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般
就業場所(雇入れ直後)大阪支社(変更の範囲)本社および全国の支社、営業所

※いわゆる在籍出向を命じることがある場合で、出向先での就業場所や業務が出向元の会社の変更の範囲を超える場合には、その旨を明示するようにする

③パートタイマーやアルバイトなどの有期契約を更新する場合の基準

記載が必要になる項目              記載例
契約期間期間の定めあり(2024年4月1日~2025年3月31日)
(例1)有期契約を更新する場合の基準
契約の更新有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)
※通算契約期間は4年を上限とする。
(例2)有期契約を更新する場合の基準
契約の更新有(自動的に更新する)契約の更新回数は3回を上限とする。

出典:厚生労働省「2024(令和6)年4月1日施行改正職業安定法施行規則募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」

また労働基準法施行規則5条の改正で、2024年4月1日から労働者を採用する時、渡すことが義務付けられている労働条件通知書などに記載しなければならない労働条件の項目が、新たに追加されているので、ご注意ください。

記載例などの詳細は、下記の記事をご覧ください。

まとめ

「求人票に書いてあった業務内容と違う業務の部署に配属された」「求人票では時間の融通がきく仕事と書いてあったのに、残業や休日出勤は当たり前だった」と少しでも多くの人に応募をしてもらおうと求人広告や求人サイトで、現状とかけ離れた内容を書くと離職率が高くなります。2024年4月から変わった求人募集や採用のルールを確認しておきましょう。

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