民法の改正により、2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられました。
18歳になると、1人で有効な契約をすることができ、親権に服することながなくなりました。
よって18歳以上の方は、親の同意がなくてもクレジットカードを作成したり、スマホを自分で購入できるようになりました。
ところで、労働基準法では年少者の健康および福祉の観点から「年少者に対する保護規定」が定められています。
満15歳に達した日以後最初の3月31日が終了するまで(中学校卒業前)の児童は、原則使用が禁止されています。
ただし満13歳以上の児童については、下記(1)~(4)を満たし非工業的業種に限り使用できます。
(1)健康および福祉に有害でない
(2)労働が軽易である
(3)修学時間外(学校の授業時間外)に使用する
(4)労働基準監督署長の許可がある
13歳未満の児童は、映画製作または演劇の事業に限り上記(1)~(4)を満たしている場合は使用できます。
2022年3月末まで、年齢区分ごとに下記表のように保護規定が適用されていました。
【2022年3月末までの労働基準法における年齢区分と保護規定の範囲】
・下記表のうち保護規定が適用されるものは「◯」と表示
中学卒業前で使用許可が有る児童 | 年少者 18歳未満 |
未成年者 20歳未満 |
20歳以上 | |
①労働条件の明示 (労働基準法15条) |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
②賃金の支払い (労働基準法24条・最低賃金法4条) |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
③労働時間 (労働基準法32条) |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
④休憩時間 (労働基準法34条) |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
⑤休日 (労働基準法35条) |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
⑥未成年者の労働契約締結の保護(労働基準法58条) | ◯ | ◯ | ◯ | |
⑦未成年の賃金請求権 (労働基準法59条) |
◯ | ◯ | ◯ | |
⑧年齢証明書等の備付け (労働基準法57条) |
◯ | ◯ | ||
⑨労働時間・休日の制限 (労働基準法60条) |
◯ | ◯ | ||
⑩深夜業の制限 (労働基準法61条) |
◯ | ◯ | ||
⑪危険有害業務の就業制限 (労働基準法62条) |
◯ | ◯ | ||
⑫坑内労働の禁止 (労働基準法63条) |
◯ | ◯ | ||
⑬帰郷旅費 (労働基準法64条) |
◯ | ◯ |
18歳以上で適用され20歳以上で適用されない保護規定は「⑥未成年者の労働契約締結の保護」と「⑦未成年の賃金請求権」でした。
■「⑥未成年者の労働契約締結の保護」とは?
労働契約は、未成年者でも本人が締結しなければならず、親権者(父親・母親)や後見人が、未成年者の代わりに労働契約を結ぶことはできません。
労働契約が、未成年者に不利である場合は、親権者や後見人・労働基準監督署は将来に向かって解除できます。
■「⑦未成年の賃金請求権」とは?
賃金は、直接労働者に支払わなければならず、未成年も自分で賃金を請求できます。
また親権者や後見人に支払うことも禁止されています。
病気などやも得ない理由で受け取れない場合は、妻子などの使者に支払うことはできます。
先日更新された厚生労働省のリーフレット「高校生等を使用する事業主の皆さんへ(令和4年3月)」で、保護規定は下記のようになっています。
【2022年4月1日からの労働基準法における年齢区分と保護規定の範囲】
・下記表のうち保護規定が適用されるものは「◯」と表示
中学卒業前で使用許可が有る児童 | 未成年者・年少者 18歳未満 |
18歳以上 | |
①労働条件の明示 (労働基準法15条) |
◯ | ◯ | ◯ |
②賃金の支払い (労働基準法24条・最低賃金法4条) |
◯ | ◯ | ◯ |
③労働時間 (労働基準法32条) |
◯ | ◯ | ◯ |
④休憩時間 (労働基準法34条) |
◯ | ◯ | ◯ |
⑤休日 (労働基準法35条) |
◯ | ◯ | ◯ |
⑥未成年者の労働契約締結の保護(労働基準法58条) | ◯ | ◯ | |
⑦未成年の賃金請求権 (労働基準法59条) |
◯ | ◯ | |
⑧年齢証明書等の備付け (労働基準法57条) |
◯ | ◯ | |
⑨労働時間・休日の制限 (労働基準法60条) |
◯ | ◯ | |
⑩深夜業の制限 (労働基準法61条) |
◯ | ◯ | |
⑪危険有害業務の就業制限 (労働基準法62条) |
◯ | ◯ | |
⑫坑内労働の禁止 (労働基準法63条) |
◯ | ◯ | |
⑬帰郷旅費 (労働基準法64条) |
◯ | ◯ |