すべての事業主に義務付けられている職場のセクハラ、マタハラ防止対策は?

12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です。厚生労働省では、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定めハラスメントのない職場づくりを推進するため、広報・啓発活動が実施されています。

すべての事業主は、事業所規模や業種に関係なく、職場におけるセクシャルハラスメントや妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメント、パワーハラスメント防止対策を実施することが義務づけられています。この記事では、厚生大臣の指針で定められているセクハラ防止対策や妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントの具体的な取り組み例を詳しく解説します。

職場におけるセクシャルハラスメントとは?

職場におけるセクシャルハラスメント(以下「セクハラ」という)とは、職場で行われる労働者の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり「性的な言動」により就業環境が害されることです。例えば、身体を触られることを拒否したり、執拗に食事に誘われても断った労働者を降格処分や配置転換にすることもセクハラ(対価型セクシャルハラスメント)になります。また同僚に性的な噂を流されたため、仕事が手につかなくなるなど職場環境が不快になり就業するうえで見過ごすことができない支障が生じた場合もセクハラになります。(環境型セクシャルハラスメント)

セクハラは、男性も女性も加害者にも被害者になる問題で、異性に対するものだけではなく、同性に対するものやLGBT*も該当します。

*レズビアン(同性を好きになる女性)、ゲイ(同性を好きになる男性)、 バイセク. シュアル(両性を好きになる人)、トランスジェンダー(生物学的・身体的な性、出生時の戸籍上の性と、性自認が一致しない人)

すべての事業主に義務付けられているセクハラ防止対策は?

セクハラを防止するため、「事業主が雇用管理上講ずべき措置」が、厚生労働大臣指針に定められています。すべての事業主は、必ず雇用管理上講ずべき措置を講じなければなりません。

具体的な項目や取組例は、下記の表の内容となっています。

 項目       内容防止対策をしていると認められる例
事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発イ セクハラの内容及びセクハラを
行ってはならない旨の方針を明確
化し、管理監督者を含む労働者に
周知・啓発すること。
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、セクハラを行ってはならない旨の方針を規定し、当該規定と併せて、セクハラの内容及び性 別役割分担意識に基づく言動がセクハラの発生の原因や背景となり得ることを、労働者に周知・啓発すること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等にセクハラの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクハラの発生の原因や背景となり得ること並びにセクハラを行ってはならない旨の方針を記載し、配布等すること。
③セクハラの内容及び性別役割分担意識に基づく言動がセクハラの発生の原因や背景となり得ること並びにセクハラを行ってはならない旨の方針を労働者に対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること。
同上ロ セクハラに関する性的な言動を
行った者については、厳正に対処
する旨の方針及び対処の内容を就業
規則その他の職場における服務規律
等を定めた文書に規定し、管理監督
者を含む労働者に周知・啓発すること。
① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、職場におけるセクハラに関する性的な言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発すること。
② 職場におけるセクハラに関する性的な言動を行った者は、現行の就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において定められている懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し、これを労働者に周知・啓発すること。
相談・苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整 備イ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。① 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。
② 相談に対応するための制度を設けること。
③ 外部の機関に相談への対応を委託すること。
同上ロ イの相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また相談窓口においては、被害を受けた労働者が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、職場におけるセクハラが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるセクハラに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。① 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図ることができる仕組みとすること。
② 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること。 ③ 相談窓口の担当者に対し、相談を受けた場合の対応についての研修を行うこと。
セクハラに関する事後の迅速かつ適切な対応イ 事案に関する事実関係を迅速かつ正確に確認すること。なお、セクハラに関する性的な言動の行為者とされる者が、他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)である場合には、必要に応じて、他の事業主に事実関係の確認への協力を求めることも含まれる。① 相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談を行った労働者(以下「相談者」)及び行為者の双方から事実関係を確認すること。その際、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること。 また、相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること。
② 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、法第18条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること。
同上ロ イにより、職場におけるセクハラが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害を受けた労働者(以下「被害者」という。)に対する配慮のための措置を適正に行うこと。① 事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復、管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること。
② 法第18条に基づく調停その他中立な第三者期間の紛争解決案に従った措置を被害者に対して講ずること。
同上ニ 改めてセクハラに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること① セクハラを行ってはならない旨の方針及びセクハラに係る性的な言動を行った者について厳正に対処する旨の方針を、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載し、配布等すること。
② 労働者に対してセクハラに関する意識を啓発するための研修、講習等を改めて実施すること。
⑷ ⑴から⑶までの措置と併せて講ずべき措置イ 職場におけるセクハラに係る相談者・行為者等の情報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから、相談への対応又は当該セクハラに係る事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。① 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとすること。 ② 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと。
③ 相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、配布等すること。
同上ロ セクハラの相談をしたこと若しくは事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、セクハラの相談等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・啓発をすること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に、セクハラの相談等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等すること。

出典:厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針 (平成18年厚生労働省告示第615号)【令和2年6月1日適用】

職場における妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントとは?

職場における妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメント(以下「マタハラ」という)とは、職場において行われる上司または同僚からの言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等の申出・取得した男女の労働者の就業環境が害されることです。

職場における妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントには、上司または同僚から行われる「イ制度等の利用への嫌がらせ型」と「 ロ状態への嫌がらせ型」があります。

イ 「制度等の利用への嫌がらせ型」

その雇用する女性労働者の労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業その他の妊娠または出産に関する制度または措置の利用に関する言動により就業環境が害されるものをいいます。具体的には、下記の制度または措置が対象となります。

男女雇用機会均等法が対象とする制度または措置育児・介護休業法が対象とする制度または措置
① 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)
② 坑内業務の就業制限及び危険有害業務の就業制限
③ 産前休業
④ 軽易な業務への転換
⑤ 変形労働時間制がとられる場合における法定労働時間を超える労働時間の制限、労働時間の制限、時間外労働及び休日労働の制限並びに深夜業の制限
⑥ 育児時間
①育児休業
②介護休業
③子の看護休暇
④介護休暇
⑤所定外労働の制限
⑥時間外労働の制限
⑦深夜業の制限
⑧育児のための所定労働時間の短縮措置
⑨始業時刻変更等の措置
⓾介護のための所定労働時間の短縮措置

「制度等の利用への嫌がらせ型」ハラスメントの典型的な例として、下記のものがあげられています。

防止措置が必要となるハラスメント「制度等の利用への嫌がらせ型」ハラスメントの典型的な例
解雇その他不利益な取扱い(法第9条第3項に規定する解雇その他不利益な取扱いをいう。以下同じ。)を示唆するもの女性労働者が、制度や措置の利用の請求等(措置の求め、請求又は申出をいう。以下同じ)をしたい旨を上司に相談したこと、制度等の利用の請求等をしたこと、又は制度等の利用をしたことにより、上司が当該労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆すること。
制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの (イ) 女性労働者が制度等の利用の請求等をしたい旨を上司に相談したところ、上司が当該女性労働者に対し、当該請求等をしないよう言うこと
(ロ) 女性労働者が制度等の利用の請求等をしたところ、上司が当該女性労働者に対し、当該請求等を取り下げるよう言うこと
(ハ) 女性労働者が制度等の利用の請求等をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚が当該女性労働者に対し、繰り返し又は継続的に当該請求等をしないよう言うこと(当該女性労働者がその意に反することを当該同僚に明示しているにもかかわらず更に言うことを含む)
(ニ) 女性労働者が制度等の利用の請求等をしたところ、同僚が当該女性労働者に対し、繰り返しまたは継続的にその請求等を取り下げるよう言うこと
(女性労働者がその意に反することをその同僚に明示しているにもかかわらず、更に言うことを含む)
制度等の利用をしたことにより嫌がらせ等をするもの客観的にみて、言動を受けた女性労働者の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等当該女性労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなものが該当する。 女性労働者が制度等の利用をしたことにより、上司又は同僚が当該女性労働者に対し、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等(嫌がらせ的な言動、業務に従事させないこと又は専ら雑務に従事させることをいう。以下同じ。)をすること(当該女性労働者がその意に反することを当該上司又は同僚に明示しているにもかかわらず、更に言うことを含む)

例えば、育児休業明けに残業免除や夜勤免除を申請した社員に対して、上司の場合は、残業免除や夜勤免除の申請を取り下げるように1回言っただけでもハラスメントになりますが、同僚の場合は複数回または繰り返し申請を取り下げるように言った場合は、ハラスメントになります。

ロ 「 状態への嫌がらせ型」

その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したことその他の妊娠又は出産に関する言動により就業環境が害されるもの(以下「状態への嫌がらせ型」という)で、下記が対象となります。

① 妊娠したこと(均等則第2条の3第1号関係)。

② 出産したこと(均等則第2条の3第2号関係)。

③ 坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定により業務に就くことができないこと

③ 坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定により業務に就くことができないこと又はこれらの業務に従事しなかったこと(均等則第2条の3第4号関係)。

④ 産後の就業制限の規定により就業できず、又は産後休業をしたこと(均等則第2条の3第5号関係)。

⑤ 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと(均等則第2条の3第9号関係)

なお、「妊娠又は出産に起因する症状」とは、つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいう。

防止措置が必要となるハラスメント「制度等の利用への嫌がらせ型」ハラスメントの典型的な例
解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの上司に妊娠報告をしたら辞めるように言われたなど、女性労働者が妊娠等したことにより、上司が当該女性労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いを示唆すること
妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの・上司や同僚が「妊婦はいつ休むかわからないから仕事は任せられない」と繰り返しまたは継続的に言い、就業する上で看過できない程度の支障が生じている
・上司や同僚が「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返しまたは継続的に言い、就業する上で看過できない程度の支障が生じている
(意に反することを明示した場合にさらに行われる言動も含む)

すべての事業主に義務付けられているマタハラ防止対策は?

マタハラを防止するため、「事業主が雇用管理上講ずべき措置」が、厚生労働大臣指針に定められています。すべての事業主は、必ず雇用管理上講ずべき措置を講じなければなりません。

具体的な項目や取組例は、下記の表の内容となっています。

項目内容防止対策をしていると認められる例
事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発イ マタハラの内容及びマタハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、事業主の方針及び制度等の利用ができる旨について規定し、当該規定と併せて、ハラスメントの内容及びハラスメントの背景等を労働者に周知・啓発すること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等にハラスメントの内容及びハラスメントの背景等、事業主の方針並びに制度等の利用ができる旨について記載し、配布等すること。
③ ハラスメントの内容及びハラスメントの背景等、事業主の方針並びに制度等の利用ができる旨を労働者に対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること。
同上ロ マタハラを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、職場における妊娠、出産等に関するハラスメントに係る言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発すること。
② 職場における妊娠、出産等に関するハラスメントに係る言動を行った者は、現行の就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において定められている懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し、これを労働者に周知・啓発すること。
相談・苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備イ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。① 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。
② 相談に対応するための制度を設けること。 ③ 外部の機関に相談への対応を委託すること。
同上ロ 相談窓口の担当者が適切に対応することができるようにすること。① 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図ることができる仕組みとすること。
② 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること。
③相談窓口の担当者に対し、相談を受けた場合の対応についての研修を行うこと
マタハラに係る事後の迅速かつ適切な対応イ事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること① 相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談者及びマタハラ加害者の双方から事実関係を確認すること。その際、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること。 また、相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること。
② 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、法第18条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること。
同上ロ マタハラが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと① 事案の内容や状況に応じ、被害者の職場環境の改善又は迅速な制度等の利用に向けての環境整備、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、行為者の謝罪、管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること。
② 法第18条に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を被害者に対して講ずること。
同上ハ イにより、マタハラが、生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと。① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書におけるマタハラに関する規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること。あわせて、事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、行為者の謝罪等の措置を講ずること。
② 法第18条に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を行為者に対して講ずること。
同上ニ 改めてマタハラに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること① 事業主の方針、制度等の利用ができる旨及びマタハラに係る言動を行った者について厳正に対処する旨の方針を、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載し、配布等すること。
② 労働者に対してマタハラに関する意識を啓発するための研修、講習等を改めて実施すること
マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置マタハラの原因や背景となる要因を解消するため、業務体制の整備など必要な措置を講じなければならない① 妊娠等した労働者の周囲の労働者への業務の偏りを軽減するよう、適切に業務分担の見直しを行うこと。
② 業務の点検を行い、業務の効率化等を行うこと。
上記の措置と併せて講ずべき措置イ 相談者・加害者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。① 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとすること。
② 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと。
③ 相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、配布等すること
同上ロ マタハラに関し相談をしたこと若しくは事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。① 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、マタハラの相談等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・啓発をすること。
② 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に、マタハラの相談等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等すること

なお指針によると、マタハラの発生の原因や背景には、

(ⅰ)妊娠、出産等に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動を含め、他の女性労働者の妊娠、出産等の否定につながる言動が頻繁に行われるなど制度等の利用又は制度等の利用の請求等をしにくい職場風土

(ⅱ)制度等の利用ができることの職場における周知が不十分であること

などもあると考えられるため、これらを解消していくことが職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要であるとされています。

出典:厚生労働省「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成28年厚生労働省告示第312号)【令和2年6月1日適用】」

まとめ

職場のハラスメントを放置していると、離職率が高くなり、人手不足により過重労働となります。建設業やタクシー・バス・運送会社のトラック運転手には、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されるため、厚生労働大臣指針に定められているハラスメント防止対策の実施がまだの場合は、早めに対応しましょう。

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