事業主は、職場における妊娠、出産、育児・介護休業などに関するハラスメント防止対策をすることが義務付けられています。
(男女雇用機会均等法第11条の3、育児・介護休業法第25条)
職場における妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントとは、
「職場において行われる、上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されること」
とされ、不妊治療に対する否定的な言動も対象となります。
※ 業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものはハラスメントには該当しません。
「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」には
■育児休業を取るなど「制度等の利⽤への嫌がらせ」
■女性労働者が妊娠・出産したことやつわり・妊娠悪阻などで労働能率が落ちたことなどの「状態への嫌がらせ型」
があります。
このうち「制度等の利⽤への嫌がらせ」については、育児休業を利用しようとする人や利用する人・利用した人への嫌がらせだけではありません。
残業や深夜勤務の免除、時短勤務など下記表の①~⑯の制度または措置を利用しようとする人や利用する人・利用した人への嫌がらせも対象となります。
男⼥雇用機会均等法が対象とする制度または措置 | 育児・介護休業法が対象とする制度 または措置 |
①産前休業 ②妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(⺟性健康管理措置) ③軽易な業務への転換 ④変形労働時間制での法定労働時間を超える労働時間の制限、時間外労働及び休⽇労働の制限並びに深夜業の制限 ⑤育児時間 ⑥坑内業務の就業制限及び危険有害業務の就業制限 |
⑦育児休業 ⑧介護休業 ⑨子の看護休暇 ⑩介護休暇 ⑪所定外労働の制限 ⑫時間外労働の制限 ⑬深夜業の制限 ⑭育児のための所定労働時間の短縮措置 ⑮始業時刻変更等の措置 ⑯介護のための所定労働時間の短縮等の措置 |
なお上記の⑭~⑯は、就業規則にて措置が講じられていることが必要です。
ハラスメントの対象となる労働者は、女性だけでなく男性労働者も対象です。
加害者は、上司だけでなく同僚も対象になります。
例えば深夜勤務免除の申出をしようとした労働者に同僚が
「私は育休明けから夜勤(深夜勤務)をした。長い間休んでみんなに迷惑かけたから、あなたも夜勤のシフトに入るべきだ」
と制度の利用をあきらめざるを得ないことを何度も言うのは、ハラスメントに該当します。
制度の利用請求を相談した労働者に、請求しないような言動や申請を取り下げるような言動をした場合、
■上司の場合、請求しないような言動や申請を取り下げるような言動を1回でもした場合、ハラスメントに該当する
■同僚の場合、請求しないような言動や申請を取り下げるような言動を繰り返しまたは継続した場合はハラスメントに該当する
とされています。
2020年6月から義務付けられたパワハラ防止対策と併せて、ハラスメント防止研修や就業規則の変更は早めに行いましょう。
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