子の看護休暇を申請した社員に診断書や証明書の提出を要求できる?入社6か月未満の社員も子の看護休暇の取得が必要?

2021(令和3)年1月1日から、子の看護休暇・介護休暇はすべての労働者(日々雇用を除く)が、1時間単位で(中抜け無し)取得できるようになりました。事業主は、労働者が適法な子の看護休暇や介護休暇取得の申出をした場合、どのような理由があっても拒めません。ただし労使協定を締結することで、子の看護休暇や介護休暇取得を拒むことができる労働者もいます。
この記事では、子の看護休暇や介護休暇を取得した労働者に、診断書や証明書の提出を要求できるかについて、労使協定を締結することで子の看護休暇や介護休暇を拒むことができる労働者について詳しく解説します。

子の看護休暇とは?

子の看護休暇とは、労働者(日々雇用される者を除く)が事業主に対して申出をすることにより、けがや病気(風邪による発熱など)になった*小学校就学前の子を世話(病院への付添いも含む)または予防接種や健康診断を受けさせるために取得できる休暇です。子の看護休暇を取得できる日数は、1年度に5日(対象となる子が2人以上いる場合は10日)までとされ、1日または時間単位で取得できます。

*その子が6歳に達する日の属する年度(4月1日から翌年3月31日までをいう)の3月31日まで

「予防接種」には、予防接種法に定める定期の予防接種以外のもの(インフルエンザ予防接種などの任意接種)も含まれます。

なお子の看護休暇を取得した時間分に対する賃金の支払いは、義務づけられていません。

時間単位で子の看護休暇を取得した場合、休暇1日分は何時間?

1時間単位で子の看護休暇を取得した場合など1日未満の単位で取得する子の看護休暇1日の時間数は、「1日の所定労働時間数」とされています。

この場合「1日の所定労働時間数」とは、1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合には、端数を時間単位に切り上げる必要があります。例えば、所定労働時間が7時間30分の労働者が時間単位で子の看護休暇を取得した場合、8時間分の子の看護休暇が、1日分子の看護休暇となります。

また日によって所定労働時間数が異なる場合は、1年間における1日平均所定労働時間数となり、1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数となります。(則第34条第2項)

入社6か月未満の社員も子の看護休暇の取得が必要?

子の看護休暇の取得対象者は、日々雇い入れる者を除いた、すべての労働者です。

ただし下記の労働者については、子の看護休暇を取得することができないこととする労使協定があるときは、事業主は子の看護休暇の申出を拒むことができ、拒まれた労働者は子の看護休暇を取得することができません。ただし、③の労働者については、1日単位で子の看護休暇を取得することはできます。

       労使協定を締結することで、子の看護休暇取得の対象外となる労働者

 労使協定の締結で対象外となる労働者1日単位で取得時間単位で取得
① 入社6か月未満の労働者*対象外となる対象外となる
⓶1週間の所定労働日数が2日以下の労働者対象外となる対象外となる
③ 時間単位で子の看護休暇を取得することが
困難と認められる業務に従事する労働者
対象外にできない対象外となる

なお上記③に該当しうる業務として、指針で下記の業務が例示されています。

(イ) 「国際路線等(内国長距離路線も含む)に就航する航空機に従事する客室乗務員・操縦士、副操縦士等の業務等*1で所定労働時間の途中までまたは途中から、子の看護休暇を取得させるのが困難な業務

*1 所定労働時間の大半を移動しながら行う運輸業務等

(ロ) ⾧時間の移動を要する遠隔地で行う業務*2であって、時間単位の子の看護休暇又は介護休暇を取得した後の勤務時間又は取得する前の勤務時間では処理することが困難な業務

*2 業務を行う場所までの往復に多くの時間を要する業務など

(ハ) 流れ作業方式や交替制勤務による業務であって、時間単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得する者を勤務体制に組み込むことによって業務を遂行することが困難な業務

出典:厚生労働省「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針第二の二の(三)最終改正:令和3年9月30日号外厚生労働省告示第366号」

子の看護休暇を申請した社員に診断書や証明書の提出を要求できる?

事業主は、労働者に対して申出に関係する子がけがや病気にかかっている事実、または予防接種や健康診断を受けることを証明する書類の提出を求めることができます(則第35条第2項)。

なお病気の子を世話するために子の看護休暇を取得する場合、介護休業と異なり、休暇が取得できるけがや病気の種類や程度に特段の制限はありません。

このため、子の負傷または病気の事実を証明する書類としては、必ずしも医師の診断書等が得られない場合等もあるため、購入した薬の領収書等で確認する等柔軟な取扱いをすることが求められています。

証明することができる書類として、下記が利用可能な書類の例として挙げられています。

子の看護休暇取得目的   証明することができる書類として利用可能な書類の例
けがまたは病気にかかっている事実医師の診断書、医療機関の領収書、保育所を欠席したことが明らかとなる連絡帳等の写し、購入した薬の領収書等
予防接種や健康診断を受けさせる事実医療機関等の領収書、健康診断を受けさせることが明らかとなる市町村からの通知等の写しなど

出典:厚生労働省通達「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」の一部改正について平成28年8月2日付け職発0802第1号、雇児発0802第3号、改正令和3年11月30日雇均発1130第1号

まとめ

育児・介護休業法の改正により、2022年4月から本人または妻の妊娠・出産を申し出た社員に育児休業と産後パパ育休(出生時育児休業は2022年10月から義務)取得の意向を確認することと制度や給付などについて説明することが、会社に義務づけられました。育児休業明けの仕事復帰がスムーズにいくように、子の看護休暇や時短勤務などについても、妊娠・出産を申し出た社員の方に説明しておきましょう。

「育児休業取得者や短時間勤務者の代替要員を雇った」

「代替要員を雇わずに業務の見直し・効率化を行い、育児休業取得者の業務を代替する周囲の労働者に対し、手当支給等の賃金増額を行った」

という場合に受給できる助成金については、下記の記事をご覧ください。

子育てする人の「働く」を考えるWebメディア「はたママ project 」に働く女性が妊娠中~子供が3歳になるまで利用できる経済支援などについて、下記の記事を執筆させていただきました。妊娠中の悪露や切迫早産・流産などで入院した場合の傷病手当金などについて紹介しています。

働く女性が妊娠中から出産後1年以内に利用できる制度「母性健康管理と母性保護」 – はたママ project
働く女性が妊娠中から子供が3歳になるまで利用できる経済支援について – はたママ project
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